Alakazam!

都心を少し離れた小さなこの部屋からアラサーの日常・好きなことを綴ります。インテリアやアイドルや海などなど。興味津々。

中居正広という男

「さよなら。」と言えば君の傷も少しは癒えるだろう?

 

SMAPを世界一愛する男の、訣別の覚悟に身震いした大晦日だった。

 

 

SMAP解散騒動以降、各メンバーの番組やラジオをひたすら見聞きし、ファン投票によって収録楽曲が選ばれたベストアルバム「SMAP 25 YEARS」と過去のシングル曲のPVを収めた「Clip! Smap! コンプリートシングルス」を購入し、ひたすらSMAP漬けの毎日を送っていた。いつの間にやらすっかりSMAPの虜になってしまっていたようだ。

中でも中居正広にみるみるうちに引きこまれていった。野球を語るキラキラした目、キレキレのダンス、味のある歌、軽妙なトーク、それら全て魅力的だったけれども、何よりも私を惹きつけたのは、彼の人間性、求心力だった。メンバーから優しすぎると言われ、スタッフや共演者から気配りの人と言われることも多く(最近でいえば、スマスマのスタッフ全員の靴のサイズを聞き、スニーカーをプレゼントしたとか!)、日の当たらない後輩をプロデュースし、被災地へも何度も個人で足を運び、寄付をしている。スマスマは5年間欠かさずに義援金の呼びかけを続けてきたが、その取り組みに中居くんの寄与した割合は大きいだろう。また、彼はSMAPの営業マンとしても奮闘していたと思う。トーク中にメンバーのエピソードをごくごく自然に織り込む仕事人のやり口に魅了されたかと思えば、スマスマの5人旅でBEST FRIENDを歌うメンバーを見ながら涙を流してSMAPへの愛がだだ漏れになるそのギャップ。これほどに商品を愛した営業マンがいることは、SMAPが国民的アイドルになる上で不可欠だったろうな、と思うのである。そのようなエピソードを知るたび、リーダーの器みたいなものをひしと感じた。

 

2016年12月31日。

紅白真っ只中の23時、私は手に汗握って、小さな部屋の小さなソファで毛布にくるまりスマホを握りしめながら、ラジオの声を待っていた。12月31日、SMAPの最後の日に、SMAPリーダー中居正広のラジオがある。何を語るのか、語らないのか。スマスマラストの世界に一つだけの花を歌いながら、目を真っ赤にしながらの作り笑顔。それは身を切られるような辛い映像だった。それはファンはもとよりSMAP本人たちの気持ちそのものだろう。テレビは思っている以上に人の心を映すということを知った。これから先、SMAPを思い出す時、必ずこの映像が脳裏に蘇る。このまま何も語られないまま2017年になってしまったら、この排水溝の奥底で滞った汚水のような悲しみを、どうすればよいのか。祈るような想いで。

 

Some girl' SMAP最後ですねスペシャ

どうもこんばんは中居です。さてさて2016年大晦日。幸か不幸か31日ですか。ねぇ…うーん神様は僕にこの31日という今日の日をどういう意味で与えてくれたのかなっていうね。う〜ん、これはしっかりしなさいと言っているのか、あるいはしっかり努めなさいと言っているのか、ブレないでやれよ!と言っているのか…これは違うか!うん…なんで31日だったんだろうね…。いやこれはなんか意味があるのかなって僕は勝手な解釈を…しなければ…ね、しようかなと思っていますけれども。31日かぁ、ちょっとお話ししましょうか、ね。お話ししなければいけないこともあるのかなと思っております。…はじまります。

 

あぁ、中居くんはきちんとピリオドを打とうとしている。ファンの、いや日本国民全員のこのもやもやどろどろとした思いを、ちゃんと受け止めてくれようとしている。そう知ってほっとしたと同時に涙がこぼれた。これで、本当に、SMAPは終わってしまうのだな…。

内容については、書き起こしても一切中居くんの心情は伝わらないと思うので、ぜひ音源を探して聞いてほしい。彼は(当然ながら)解散に至る真相は話さなかったけれど、この一年の思いをひとつひとつ、落ち葉を拾い集めるように、丁寧に語ってくれた。とても敏感な一年で、だんだん麻痺していったこと、正解がわからなくて何周も何周も考えたこと、結果正しいことだけではなかったと思っていること、誰も悪くない、メンバーはみんな頑張ったということ。そしてファンの活動は届いているよと、感謝していること、ベストを聞いたこと。

分かったことは、解散に至るきっかけはおそらく事務所にあったのかもしれないけれども、解散を決めたことはメンバーの決断であるということ。いわゆる価値観の違いから、メンバー間の信頼が崩れてもうチームとしてやっていけない状況に陥ったのだろうということ。けれど、それは誰が悪いわけでもないと中居くんは言った。人にはそれぞれ考えや立場があって、誰かにとって都合が悪い道を選ばざるをえないこともある。それは仕方ないことだと。それが例え自身が28年に渡って愛し尽くし、仕事そのもので、一生続けていきたいと願い続けていた「SMAPを手放す」ということであっても。中居くんは言うのだ。「誰も悪くない」と。

きっとどう口を開いても(そう意図していなくても)誰かの悪口に聞こえてしまう。だから、一年間口を閉ざしてきた。ただ、このままではファンの心が宙に浮いてしまう。だから一度だけ語ったのだ。「誰も悪くない」のだと。そんな彼に、偶然12月31日のラジオの場が与えられたのは必然だと思った。私が神様でもそうする。

慎吾がいつだか言っていた「中居くんは優しすぎる」という言葉に表れている。優しい人だ。メンバー4人には、中居くんという人がいてくれて、リーダーでいてくれて、本当によかったなと思った。そして、それと同時に中居くん自身には「中居くん」がいないということがとても絶望的なことのように思えた。

 

そして、番組のラスト。

好きに締めさせてもらいます、と前置きして、こう告げた。

慎吾ー!

剛ー!

吾郎ー!

木村ー!

SMAPー!

じゃねー!!

ばいばーい!!

メンバーへ、SMAPへの訣別の言葉だ。

中居くんは、ちゃんと、SMAPを終わらせようとしている。

慎吾と剛、吾郎はSMAP解散について直接的な言葉は述べなかった。木村くんは悔やんでいるということを自身のラジオで述べ、その上で他メンバー全てがラジオタイトルからSMAPという名を取る中、タイトル変更なしという道を選んだ。

私は、この中居くんの行動にSMAPというトップスターのグループを28年もの間引っ張り続けるリーダーたる所以を見た気がした。中居くんの中には、SMAPはかくあるべきという理想像があるのだろうし、それを満たせなくなるのであればきっぱりと美しいままに終わるべき、そしてそれを表明すべきという決断力と信念が見える。そこには美学を感じる。人は変化を恐れる生き物だから、ついだらだらと手を引くタイミングを見失いがちだ。木村くんの悔しいけど受け入れるしかないというコメントや、ラジオタイトル継続はその最たる例に見える(それは人として非常に理解できることではあるが)。それは、一時的にはよいように見えても、長期的にはよいことではない。いつまでも過去にとらわれていては進めないから。28年、そこには長期的プランやビジョンが必要不可欠で、中居くんはそれを持って遂行することができる人だったんだろう。

この記事の冒頭にオレンジの歌詞を載せた。さよならということ、きちんとピリオドを打つこと、それをきっかけとして、終わりを受け入れて前に進むことができるのだ。

 

SMAP解散は悲しくて辛い。

けれど、中居正広という男の美しくも切ない決断を、きちんと受け止めようとも思うのだ。